和歌山家庭裁判所 平成5年(家)196号 審判 1994年1月18日
主文
本件申立てを却下する。
理由
1 申立ての趣旨
相手方は申立人に対し、申立人と相手方との間の子である事件本人らの養育費用として平成5年3月から、事件本人らがそれぞれ成人に達する月まで、毎月末日限り、1か月1人につき30,000円ずつ(3人で90,000円)を支払えとの審判を求める。
2 当裁判所の判断
家庭裁判所調査官の調査結果及び記録中の資料を総合すれば次の事実が認められる。
(1) 申立人と相手方は昭和59年5月15日婚姻し、同年10月に長女はる、昭和61年11月に長男一郎、平成3年3月に二女なつをそれぞれ出産したが、平成5年2月15日に調停離婚した。
(2) 離婚後、申立人は、事件本人らと暮らし、自らは物品のパート販売員として勤めて月額6万円ないし10万円程度の収入があり、事件本人らについての児童扶養手当を1か月あたり45,860円受給しているものの、日々の生活費・家賃(50,000円)・事件本人らの習い事の費用・生命保険料の掛金・国民健康保険料や国民年金保険料の支払い・自動車税のほか自動車についての損害保険等の費用がかさみ、どうしても100,000円位不足するので実家の父母より月々100,000円の援助をうけてようやく生活している状態である。
(3) 離婚後、相手方は実父所有地の上の自己所有の家屋で1人で暮らしているところ、従前勤めていた○○株式会社を、夫婦間の問題が発覚して好奇の目で見られたり、事実上降格せられたりしたこともあって退職せざるをえなくなって、平成5年4月23日同社を退職し、以後求職活動をしているが、適当な就職先が見つからない状態にある。
(4) 相手方は、失業保険を受給しているものの、住宅ローンが8,000,000円程度、離婚に伴う解決金支払いのための借入金が1,300,000円、自動車ローン返済のための借入金が1,300,000円あって、これらの支払いが月々100,000円以上要するが、すべて相手方の実家の父母に依存し、支払ってもらっている状況である。
以上認定の諸事情を基に本件申立てについて判断するに、相手方には経済的な余力は認められないので却下せざるを得ないと考える。
よって、主文のとおり審判する。